boboh5boboh5

柿(かき):郷愁を誘う里山の秋の風物詩 干して凝縮された甘さは和菓子の原点

Ad

日本の柿が海外で人気

柿の旬は10~11月で、東アジアが原産。縄文時代の遺跡から種が出土しているが、現代のものに近い品種は奈良時代に中国から渡来したと考えられている。当時の柿は、実が熟しても強い渋みが残る「渋柿」だった。

伊達市の柿の木(写真提供:福島県観光物産交流協会)
伊達市の柿の木(写真提供:福島県観光物産交流協会)

鎌倉時代に、樹上で成熟するうちに実の渋みが抜ける「甘柿」が誕生し、生食できるように。江戸時代には各地で柿の品種が銘柄化、日本からヨーロッパへ、後に米国にも渡った。日本語がそのまま学名に使われているため、学名はDiospyros kaki(「神の食べ物・柿」の意)。欧米ではkakiでほぼ通用する。日本の柿は海外でも評価が高く、輸出量は増加傾向にある。

甘柿なら「富有(ふゆう)」や「次郎」、渋柿なら種の無い「平核無(ひらたねなし)」などが人気で、生産量も多い。渋柿はそのままでは食べられないため、炭酸ガスやアルコールで「渋抜き」をする。スーパーなどの店頭にある柿は渋抜き後に出荷されており、どれを選んでも甘いので心配無用だ。

里山に自生するものもあれば、民家の庭先にもよく植えられている。晩秋、葉が落ちた枝の先で真っ赤に色づいた実は、どこか郷愁を誘う。

干し柿は先人の知恵

渋柿しかなかった時代、「干せば渋が抜ける」と発見した先人により、「干し柿」が作られるように。平安時代には祭礼用の菓子として用いられ、保存食としても重宝された。ちなみに表面の白い粉(柿霜=しそう)は結晶化した糖。茶人の千利休はこれを茶菓子として供したとされる。和菓子職人に伝わる「甘さは干し柿を最上とする」という教えが示す通り、干し柿は和菓子の糖度の基準であり、原点でもある。

山形県・紅柿の干し柿(写真提供:農林水産省ウェブサイト)
山形県・紅柿の干し柿(写真提供:農林水産省ウェブサイト)

「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるほど栄養価が高く、ビタミンCを豊富に含む葉は乾燥させてノンカフェインのお茶として活用される。また木材は建築に使われ、黒く変色した「黒柿」は希少価値があることから高級家具や茶道具などに用いられる。渋柿の果汁を発酵させた「柿渋」は染料や塗料になる。柿は日本の暮らしにしっかりと根付いている。

さまざまに活用できる柿を使った料理や干し柿の作り方をこちらにまとめました
→「ねっとり甘い干し柿は日本の伝統的な保存食 薬効のある葉も活用:柿のお料理コレクション

取材・構成:イー・クラフト

バナー写真:富有柿(提供:岐阜県観光連盟)

Ad
あなたにおすすめ
src

「生」も「干し」もうま味たっぷり:椎茸のお料理コレクション

干し椎茸は、かぶる程度の水に半日ほど浸すとふっくら戻る。この戻し汁を椎茸出汁(だし)と呼び、汁物や煮物に使うと、濃いうま味を楽しめる。香り高さと歯ごたえが魅力の生椎茸は、焼き物や揚げ物に向く。

src

室生寺 弥勒菩薩立像:六田知弘の古仏巡礼

両手、天衣、装身具など、すべて一材から刻まれた室生寺で最古の菩薩像。幼児が未来を見つめるような尊顔に、いつまでも手を合わせていたくなる。

src

みそ汁だけじゃない!味わい深い「味噌」のお料理コレクション

味噌は北から南までどこでも造られている、地方色豊かな調味料。各地の特産物と結びつき、さまざまな伝統食・郷土食を生んでいる。

Ad
src

味噌(みそ):大豆を発酵・熟成させた和食の基本調味料 

味噌は、日本を代表する発酵調味料の一つ。個性あるご当地味噌が全国で造られているので、食べ比べて好みの味を探すのもいい。

src

映画『愚か者の身分』:闇バイトに手を染めた男たちの絆を“ラブコメの名手”永田琴監督が描く

9月に開催された韓国の釜山国際映画祭で「最優秀俳優賞」に輝き話題となった『愚か者の身分』が全国公開。北村匠海、林裕太、綾野剛の3人が受賞する異例の結果だったが、これは小説を映画化する際に監督の意図した狙いが見事に的中した評価だと言える。永田琴監督に話を聞いた。

src

【書評】木箱が華麗に“変身”:パイザー真澄著『Chabako-茶箱 インテリア茶箱 究極の収納アート』

幕末・明治時代から日本茶を船で輸出するために作られた「茶箱(ちゃばこ)」。杉材の木箱だが、美しい布地や織物を纏(まと)うことで家具やアート作品に変身する。本書は“インテリア茶箱”の誕生と伝統的な茶箱づくり継承の物語である。

src

一片の皮を添えるだけで爽やかに香り、素材を引き立てる:柚子のお料理コレクション

黄色い柚子の皮を一片添えるだけで、爽やかな香りと華やかな彩りが加わる。ちょっと上品で気の利いた料理に見せる、柚子の魔法。

src

映画『おーい、応為』:北斎と娘の触れそうで触れない“粋”な距離感 永瀬正敏×大森立嗣が語る

江戸時代の天才絵師・葛飾北斎には、その画才を受け継ぐ娘がいた。父娘は強烈な個性でぶつかり合いながら、互いに才能を認め合う師弟の間柄でもあった。その程よい距離感は、時代を超えて人々の胸に静かに響く。北斎を演じた永瀬正敏と大森立嗣監督に撮影の舞台裏を語ってもらった。

src

ラーメン店起業体験が学校を変える? 「一風堂」支援の独創的な教育プログラム:福岡・柳川高校

福岡県の私立柳川高校(古賀賢校長)は、世界16の国と地域に約300店舗を展開する福岡のラーメン店「一風堂」と組んだ前代未聞の「スタートアップ教育プログラム」を今年スタートした。ラーメン店経営のアイデアを形にすることで、実践的な経営力を養うのが目的だ。独創的な商品はキッチンカーで販売する。

Ad
src

消える日産GT-R、復活のホンダ・プレリュード 国産スポーツカーの未来像は?

世界中にファンを持つ日本製スポーツカーの代表格、日産GT-Rが2025年8月に生産終了となった。1960年代から続く伝統のシリーズがなぜ姿を消すのか。歴史を振り返ると共に、終焉(しゅうえん)の意味を検証する。

src

葛(くず): 「古事記」の時代から奈良吉野の名産―良質な水と冬の寒さが最高級品を生む

驚異的な繁殖力から「グリーンモンスター」と呼ばれ、米国では侵略的外来植物に指定される。でも、その根に蓄えたでんぷん質はこの上なく上品なふるふる感を生み出す。

src

吉野の山の白いダイヤモンドは限りなく透き通る : 葛のお料理コレクション

雑菌の繁殖しにくい凍てつく時期に、何度も何度も繰り返し精製する過程を「吉野晒し(よしのざらし)」と言う。そうして得られた真っ白い葛粉は「白いダイヤモンド」と珍重される。

src

食べごたえずっしりでもヘルシー!和食材の代表選手:豆腐のお料理コレクション

豆腐は栄養豊富で、主菜に副菜にと変幻自在。毎日食べても飽きないうえ、お財布にも優しい庶民の味方だ。

src

法輪寺 虚空蔵菩薩立像:六田知弘の古仏巡礼

大陸的でどこかエキゾチックな風貌の飛鳥仏。手を合わせ拝んでいると、いつしか私たちは穏やかな空気に包まれる。

src

大躍進のプロゴルフ日本女子:世界メジャー大会を次々制する5つの理由とは

世界の女子プロゴルフ界で今、最も勢いがある国は日本だ。今年の海外5大メジャー大会では、西郷真央がシェブロン選手権、山下美夢有(みゆう)が全英女子オープンを制した。世界最高峰の米女子ツアーの国別勝利数でも、今季は10月1~4日のロッテ選手権まで25戦中5勝で、強豪・韓国と並んで最多タイ。強いニッポン女子ゴルフの理由を考察した。

src

よみがえる奄美の原風景:本土復帰72年、戦後の記録写真をデータ化して島へ

70年前に民俗写真家・芳賀日出男氏が撮影した奄美群島の画像データが、現地に寄贈された。当時の暮らしや風習の克明な記録は、古老たちの記憶をよみがえらせ、失われつつある島の文化継承でも大きな役目を果たしていく。

src

奪われた大地に響く物語──ガッサン・カナファーニの「ハイファへの帰還者」

ガザの空を焼く炎の向こうで、パレスチナという名の傷が再び痛みを訴えている。イスラエルによる容赦なき殲滅(せんめ… 続きを読む →

src

和洋中なんにでもアレンジ “組み合わせの妙”に納得!納豆料理コレクション

伝統的な発酵食品として日本の食生活に根付いている納豆。ご飯にのせるだけでもおいしいけれど、現代的なメニューと組み合わせても意外とイケる。バリエーション無限な“納豆ワールド”へようこそ!

src

納豆:独特のにおいと粘りが個性を放つ発酵食品

「日本の発酵食品」の代表格ともいえる納豆。あの独特のネバネバの中にうま味や健康に役立つ成分がつまっている!

src

東大寺 執金剛神立像:六田知弘の古仏巡礼

目を見開き、雄たけびを上げる、その力強い表現には圧倒される。色彩も鮮やかに残り、天平仏の傑作中の傑作と称される。

src

“若返り”の夢とがんのリスクは隣り合わせ?:世界が注目するiPS細胞アンチエイジング研究

人生100年時代。医療や介護に頼らずにいられる「健康寿命」をできるだけ長くしたい、できれば見た目も若々しく―そんな思いを実現しようと近年、iPS細胞技術を使った老化防止や若返りの研究が活発化している。東京大学の山田泰広教授に、若返り研究の可能性と課題について聞いた。

src

『葬送のフリーレン』 人生の意味を問う異色ファンタジー:冒険の終幕から始まり、新たな旅へ

1000年以上の寿命を持つ異種族エルフの魔法使いフリーレン。その特殊な視点から人間の生や文化を見つめた異色作『葬送のフリーレン』は、全世界で単行本の累計発行部数が3000万部を超える大ヒット作になった。異世界を旅するファンタジーでありながら、私たちの生き方にも示唆を与える作品になっている。

src

地味ながら滋味深い…“おふくろの味”を思わせる ひじきのお料理コレクション

黒くて地味な海藻・ひじきは、栄養バランスや彩りを考えて料理にプラスされることが多い。親から「ちゃんと食べなさい」と食卓に出されるような、家庭料理が得意分野だ。

© 2026 boboh5.com. All rights reserved