ひじきはホンダワラ科ヒジキ属の海藻で、北海道南部から九州南端まで、日本海側の一部を除く広い範囲の岩場に生息している。旬は3~5月。1メートルほどに伸びた株を、再び生えてくるよう根を残して刈り取る。
収穫期は春だが、多くは乾物として一年中出回る。採取後は天日に干し、洗って蒸し上げる。生のまま蒸すか煮る産地もある。その過程で茎から出た芽の部分が取れてしまうため、茎は「長ひじき」、芽は「芽ひじき」と分けて商品化されることが多い。海で生息しているひじきは褐色だが加熱して乾燥の工程を経ると真っ黒になる。古い文献では「鹿尾菜」と漢字表記されているのは、芽ひじきが鹿の尾のように見えることから。
縄文時代から食用とされ、奈良時代は神への供物だったひじき。平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」には、朝廷への貢ぎ物に選ばれたと記されている。また、江戸時代の料理書には、ひじきの調理法として「にもの、あへもの」とあり、当時すでに現代と同じように食べられていたと分かる。

三重県産・長ひじきの乾物(写真提供:農林水産省ウェブサイト)
古くから食べられてきたひじきだが、生育環境の変化や漁獲者の減少により、国内生産量は減少している。現在、国内で流通するひじきは9割近くが韓国・中国産だ。
栄養的には、他の海藻類と同じくカロリーは低く、ミネラル類と食物繊維が豊富。一方、比較的高い濃度で無機ヒ素を含むことから、ひじきを食用としないよう制限する国もあるが、農林水産省によると乾燥ひじきを水で戻し水洗いすることで、5割程度減らせる。ゆでこぼしすれば9割減になる。これまでに食品を通じたヒ素摂取が健康に影響を及ぼした例もなく、毎日大量にひじきを食べない限り問題はない。
ひじきはどんな食材とも合い、江戸時代から伝わる通り、煮物や和え物によく使われる。ひじきを使った料理は家庭的なものが多い。
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取材・構成:イー・クラフト
バナー写真:水戻しした芽ひじき、奥は乾物(PIXTA)


