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【イグ・ノーベル賞】白黒模様の「シマウシ」に虫よけ効果 日本人19年連続受賞

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過去には「たまごっち」、カラオケも

2025年の「イグ・ノーベル賞」授賞式が9月18日、米東部マサチューセッツ州のボストン大で行われた。同賞は人々を笑わせつつ深く考えさせる研究を顕彰するのを目的としており、会場での発表は笑いに包まれた。

今年の日本人受賞者は、農業・食品産業総合研究機構(農研機構)の児嶋朋貴研究員らのチームで、生物学賞を受賞した。研究では、黒毛和牛の体に白い塗料を塗ってしま模様を描き、寄ってくるハエやアブなど吸血昆虫の数を調査。しま模様に塗った「シマウシ」は、通常の黒色の牛などと比較して、寄ってくる吸血昆虫が約半分になることを確認した。牛のストレス軽減による発育の改善、殺虫剤に頼らない害虫対策につながる可能性がある。

実験のためシマウマ模様に塗られた黒毛和牛=2017年(愛知県農業総合試験場提供)
実験のためシマウマ模様に塗られた黒毛和牛=2017年(愛知県農業総合試験場提供)

日本人の初受賞は92年で、「足の臭いの原因となる化学物質を特定した」として、神田不二宏氏ら資生堂の研究チームが受賞した。2度受賞したのは、粘菌と呼ばれる単細胞生物を研究する中垣俊之氏。2008年に認知科学賞、10年に交通計画賞を受けた。

受賞は科学系が多いが、電子ゲーム「たまごっち」の開発で経済学賞(1997年)、犬語翻訳機「バウリンガル」の開発で平和賞(2002年)、カラオケの発明で同賞(2004年)が贈られている。

日本人の受賞が多い部門

日本人受賞者が最も多い部門は、化学賞(6回)。続いて生物学賞(5回)、医学賞(3回)などとなっている。

イグ・ノーベル(Ig Nobel)賞は、ノーベル賞のパロディーの意味合いを込め、米国の科学ユーモア雑誌が1991年に創設した。「イグ(Ig)」は否定を示す英語の接頭辞で、「卑劣な」「不名誉な」などの意味を持つ単語「ignoble」とも掛け合わせている。

イグ・ノーベル賞 日本人受賞者

1992年 医学賞

  • 神田不二宏(資生堂研究員)ら
  • 足の臭いの原因となる化学物質を特定

1995年 心理学賞

1996年 生物多様性賞

  • 岡村長之助(岡村化石研究所)
  • 1000以上の「ミニ種」の化石を発見

1997年 生物学賞

  • 柳生隆視(関西医科大学講師)ら
  • ガムをかんでいる時、ガムの味で脳波がどう変わるか研究

1997年 経済学賞

  • 真坂亜紀(バンダイ)、横井昭裕(ウィズ)
  • 「たまごっち」を開発

1999年 化学賞

  • 牧野武(セーフティ探偵社社長)
  • 夫のパンツに吹きかけると浮気を発見できるスプレーを開発

2002年 平和賞

  • 佐藤慶太(タカラ社長)、鈴木松美(日本音響研究所所長)、小暮規夫(獣医師)
  • 犬語翻訳機「バウリンガル」を開発

2003年 化学賞

  • 広瀬幸雄(金沢大学教授)
  • ハトに嫌われた銅像の化学的考察

2004年 平和賞

  • 井上大佑(会社経営)
  • カラオケを発明

2005年 生物学賞

  • 早坂洋司(オーストラリアワイン研究所)
  • カエルがストレスを感じる時に出す特有の臭いをカタログ化

2005年 栄養学賞

  • ドクター・中松(中松義郎、発明家)
  • 34年間自分の食事を写真に撮り、脳の働きや体調への影響を分析

2007年 化学賞

  • 山本麻由(国立国際医療センターの元研究員)
  • 牛ふんからバニラの香り成分「バニリン」を抽出

2008年 認知科学賞

  • 中垣俊之(北海道大学准教授)ら
  • 単細胞生物の真正粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見

2009年 生物学賞

  • 田口文章(北里大学名誉教授)
  • パンダのふんに含まれる細菌で台所の生ごみを90%削減

2010年 交通計画賞

  • 中垣俊之(公立はこだて未来大学教授)ら
  • 鉄道などのインフラ整備に真正粘菌の「知恵」が役立つことを研究

2011年 化学賞

  • 今井真(滋賀医科大学講師)ら
  • ワサビの匂いの気体で聴覚障害者に知らせる火災警報装置を開発

2012年 音響賞

  • 栗原一貴(産業技術総合研究所研究員)、塚田浩二(科学技術振興機構研究員)
  • おしゃべりを続ける人を邪魔する装置「スピーチ・ジャマー」開発

2013年 医学賞

2013年 化学賞

  • 今井真介(ハウス食品研究主幹)ら
  • タマネギの催涙成分をつくる酵素を発見

2014年 物理学賞

  • 馬渕清資(北里大学教授)ら
  • バナナの皮の滑りやすさを証明

2015年 医学賞

  • 木俣肇(クリニック院長)
  • キスで皮膚のアレルギー反応が低減することを実証

2016年 知覚賞

2017年 生物学賞

  • 吉沢和徳(北海道大学准教授)、上村佳孝(慶応大学准教授)
  • ブラジルに生息する昆虫の雌に、雄のような形状の性器があることを発見

2018年 医学教育賞

  • 堀内朗(昭和伊南総合病院消化器病センター長)
  • 座位で自身の大腸内視鏡検査を行い、苦痛が少ないことを実証

2019年 化学賞

  • 渡部茂(明海大学教授)ら
  • 5歳児の唾液のサンプルを集め、分泌量を調査

2020年 音響賞

  • 西村剛(京都大学霊長類研究所准教授)
  • ヘリウムガスでワニのうなり声も高くなることを発見

2021年 動力学賞

  • 村上久(京都工芸繊維大学助教)、西成活裕(東京大学教授)、西山雄大(長岡技術科学大学講師)
  • 「歩きスマホ」の危険性を実証

2022年 工学賞

  • 松崎元(千葉工業大学教授)ら
  • 円柱形の取っ手を何本の指を使って回すかについて研究

2023年 栄養学賞

2024年 生理学賞

2025年 生物学賞

  • 児嶋朋貴(農業・食品産業技術総合研究機構研究員)ら
  • 牛をシマウマのように白黒模様にすると、吸血昆虫が寄り付きにくくなることを研究

*肩書・所属は当時、敬称略
出所:Improbable Researchなど

【資料】

バナー写真:イグ・ノーベル賞を受賞した(前列左から)京大大学院農学研究科の大石風人准教授、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)畜産研究部門の児嶋朋貴研究員、愛知県畜産総合センターの佐藤精・酪農課長=2025年9月18日、米東部マサチューセッツ州のボストン大(時事)

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